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スロウスタート7話「ぐるぐるのてくび」文字起こし&感想

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 先日、篤見唯子先生による漫画原作のアニメ『スロウスタート』 7話「ぐるぐるのてくび」が放送されました。中でもBパートの出来栄えがあまりにも素晴らしかったため、つい勢いで文字起こししていました。完全に狂人の所業ですが、折角なのでちょっとした感想と一緒にブログに載せることにします。

 そんな7話Bパートは原作2巻step.24、3巻step.32,33をベースに構成されています。この2つのエピソードを繋げることで、廊下でやけにウザ絡みする栄依子が自然に見えますし、より自然な雰囲気を保ちながら2人の関係の進展が描かれたのではないでしょうか。

   原作と異なる箇所も複数見られるので、原作を持っている方は照らし合わせて読んでみると面白いと思います。持っていない方は今すぐ買いましょう。

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   2巻には榎並先生の友人、西村基(CV.内山夕実)さんの驚くべき情報が載っています。

目次

スロウスタート7話「ぐるぐるのてくび」Bパート 文字起こし

榎並「んん……あー、飲み過ぎた、ん?と、十倉?ウチだよな……ここ」

栄依子「……おはよーございます、せんせー」

栄依子「んんん……あのまま寝ちゃったかー、あっ、すいませんこれ外してもらえます?」

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榎並「あ、ああ……」

栄依子「ありがとうございますー、あ、お手洗いお借りしますねー」

榎並「なんだこれ……」

頭を抱える榎並先生。

栄依子「どうもありがとうございましたー」

栄依子「二日酔いですか?」

榎並「おい、なにがどうなってオマエがここにいる?」

栄依子「えー、覚えてないんですかー?」

 

〜回想〜

榎並「んん……」

西村「ほらー、ちゃんと歩けー」

栄依子「榎並せんせー」

榎並「ん?」

栄依子「こんばんはー」

榎並「お、おお…」

西村「あ、えなみーの生徒さん?」

栄依子「あ、はい、どうもです」

西村「この人飲み始めてすぐに潰れちゃって、この見た目でこの弱さって笑うわよねー」

榎並「うるせえ」

栄依子「あはは」

西村の携帯に着信が鳴る。

西村「はい西村です。あー、さっきはどうも、え、あ、はい、ありがとうございますー」

先生を見つめる栄依子。

栄依子(酔ってる、かわいー)

西村「えなみー、起きてー、さっきのお店に忘れ物取りに行かないとだからー、おーい」

栄依子「私送って行きましょうかー、先生のこと」

西村「え、いいの?もうね、すぐそこのマンションだから」

栄依子「せんせーお家ですよー、鍵開けてくださーい」

榎並「ん」

榎並「今日の西村はなんだか十倉に似ているな、何でだ?」

栄依子「うーん、十倉本人だからでしょうか」

榎並「そうか、十倉か……」

栄依子「はぁい、十倉ですよー」

リビングに移動中、榎並先生がソファに倒れこみ押し倒す形に。

f:id:shubni:20180218135046j:image栄依子「あっ、大丈夫ですか?せんせー」

榎並「……十倉ってのはうちの生徒でな」

栄依子「あ、まだ続くんだこの話」

栄依子「……ね、十倉さんてかわいい?」

榎並「いーや、かわいくねえ」

栄依子「わあ即答だ、ひどーい」

榎並「十倉はなぁ……なんだろうなアイツは、オイ、なんだと思う?」

栄依子「さ、なんでしょうねー」

榎並「ひとつ言える事はだな」

栄依子「うんうん」

榎並「かわいくねえ……」

栄依子「うわー」

栄依子「ふふっ」

部屋を見渡すシーン、時刻は21時40分を示している。

冷蔵庫を開ける栄依子。

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栄依子「はい先生、お水です」

栄依子「じゃ、私はこれで失礼します」

榎並「帰るのか?」

栄依子「帰りますよそりゃ」

榎並「帰るのか……」

栄依子「いてほしいんですか?」

榎並「……いてほしいのか?」

栄依子「こっちが聞いてるんだけどなあ……いてほしいならいますけど?」

榎並「いてほしいなら……」

栄依子「いますよ?」

榎並「いるのか……」

毛布代わりにソファのカバーをかけてあげる栄依子。

榎並「これ、ソファのカバー」

栄依子「酔っ払いのくせに細かいなー、ほーら、もう休んで下さい」

榎並「ん……オマエあれだろう、私が寝たらイタズラとかラクガキとかするんだろう」

栄依子「えーしませんよー」

榎並「いや、オマエは信用できない、よし、縛っておこう」

栄依子「えー」

榎並「両手出せ」

栄依子「はーい」

〜回想終了〜

 

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栄依子「‪——‬‪——‬みたいな感じです」

榎並「……いや、うん、私が全面的に悪い、私が悪いんだが……」

榎並「オマエももう少し抵抗しろよ……」

栄依子「アハ」

栄依子「いやー、だんだんおもしろくなってきちゃって」

榎並「おもしろければそれでいいのかオマエは」

栄依子「割と」

榎並「はぁ……あー、十倉……」

栄依子「はい」

榎並「……面倒をかけてすまなかったな」

栄依子「ぷっ、アハハハせんせーがしおらしくなってるー、アハハハ」

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榎並「十倉テメェ……」

栄依子「ごめんなさい、アハハハ」

榎並「……ツボってんじゃねえか、って、十倉オマエ無断外泊してないか」

栄依子「あー、大丈夫ですよ、友達のお宅に泊めてもらうって連絡入れてありますんで」

榎並「そうか……ん?十倉オマエずっと縛られてだろう、いつ連絡入れたんだ」

栄依子「えっ」

榎並「……オマエ本当は自分で外せたんだろう」

栄依子「ぷっ、アハハハハハハ」

榎並「あーもー、酒やめる……」

栄依子「えー、酔ったせんせーかわいかったのにー」

榎並「うるせえ」

榎並「オマエ、言っとくけど学校サボるなよ?」

栄依子「帰って着替えてから行きますよ」

榎並「そっか」

栄依子「せんせー、コーヒー飲むなら私がいれておきますよ、先に顔洗ってきて下さい」

榎並「ああ、シャワー浴びてきていいか?」

栄依子「ご随意にどうぞ」

榎並「家探しとかするなよ」

栄依子「不安ならまた縛ります?」

榎並「蒸し返すな」

栄依子「ふふっ」

榎並「使い方わかるか?」

栄依子「はい、母にいれたりするので」

榎並「ん、じゃあすまんがよろしく」

コーヒーを淹れる栄依子。時計のカット、時刻は5時50分を示している。

榎並「あーさっぱりした」

栄依子「コーヒー出来てますよ」

榎並「サンキュー」

栄依子「先生って朝食べない人ですか?」

榎並「食べたり食べなかったりだな、あ、でもオマエらは食べろよ、朝食抜きダイエットとか考えるなよ」

栄依子「はーい」

バーカウンターでコーヒーを飲む2人。

榎並「美味い」

栄依子「本当ですか?よかったぁ」

榎並「オマエ砂糖とか入れないのか?」

栄依子「ブラック派です」

榎並「女子高生がナマイキな」

栄依子「せんせーもブラックですよね」

榎並「オトナだからな」

栄依子「酔っ払って生徒に介抱される大人……」

榎並「うっ……」

栄依子「アハ、いいと思いますよ、かわいくて」

榎並「うれしくねえ」

再び時計のカット、時刻は6時35分を示している。

栄依子「ごちそうさま、そろそろ家帰って着替えないと」

榎並「遅刻したら遠慮無くつけるからな」

栄依子「はぁい」

栄依子「あ、今日日直だった」

榎並「そうか」

栄依子「花名と早めに学校行く約束してて……」

榎並「真面目だなあ、オマエら、まあ、こっちとしちゃ有難い話だが」

栄依子「うーん、シャワー浴びるとギリギリかー、汗くさいかなー」

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そっと栄依子に顔を近づけ、匂いを確かめる榎並先生。

榎並「別に、いいにおいだぞ?」

栄依子「あ、そうですか、それはよかった、それじゃ失礼します、また学校で」

榎並「おー、まっすぐ帰れよー」

部屋を出る栄依子、ドアに凭れ顔を赤らめる。

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栄依子「なに、なにこの、勝ち試合だと思ったら、最終回で逆転くらったみたいな感じは」

 

場面は変わり学校の廊下へ。

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花名「先生、おはようございます」

榎並「おう、一ノ瀬か」

花名「あ、これ、プリント集めてきました」

栄依子「花名ー、一枚忘れてるー」

花名「あっ、ありがとう栄依子ちゃん」

栄依子「いえいえ、おはようございます、せんせー」

榎並「おう」

栄依子「おはようございますっ」

榎並「くどいな、わかったよ」

栄依子「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」

榎並「……おはよう」

栄依子「はい、よくできましたー」

榎並「調子のんな」

栄依子「いったぁ……」

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ネックレスに気づく栄依子。

榎並「……おい、十倉?」

花名「栄依子ちゃん?」

栄依子「先生、これ……このネックレス……」

榎並「ん?ああ、昨日買ったんだ、友人と会うまでの暇つぶしにブラブラしてたら見つけてな」

花名「綺麗なネックレスですね」

榎並「ああ、いい色だろこれ」

栄依子「……………………」

榎並「……十倉?おい十倉、どうした?」

栄依子「ああいえ、あの、先生。すごく似合ってます、それ」

榎並「お、おう」

栄依子「じゃ、日直してきますか、行こ、花名」

花名「あ、うん」

榎並「……?(ネックレスを見つめながら)」

花名「あの、栄依子ちゃん?」

栄依子「ん?」

花名「えーと、さっき、先生と話してたとき栄依子ちゃん何かあったのかなって」

栄依子「……花名」

花名「は、はいっ」

栄依子「ちょっとだけ内緒話に付き合ってくれない……かな?」

 

再び場面が切り替わる。

花名「わー」

栄依子「ここいいでしょ、私の秘密スポット」

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花名(内緒話→秘密スポット→人には言えない話→すごくやばい話……)

栄依子「花名?」

花名「栄依子ちゃん!大丈夫!」

栄依子「え?」

花名「何があっても私は栄依子ちゃんの味方だから!」

栄依子「え、ええ?」

花名「大丈夫だからね!?」

栄依子「アハ、心配しないで、そんな暗い話じゃないから」

花名「あ、そうなんだ」

栄依子「あのね、先生がつけてたネックレス……あるじゃない?」

花名「うん」

栄依子「あれ作ったの私」

花名「え、えっーーーーー!?」

栄依子「ふふっ、私アクセサリー作るのが趣味なのね、これとか自分で作ってて」

花名「そうだったの?」

栄依子「それで、うちの母親が雑貨店やっててね、私の作ったもの置いてくれてるんんだけど……」

花名「じゃ、先生はそれを?」

栄依子「うん……」

花名「栄依子ちゃんが作ったってことは……」

栄依子「知らないと思う、知ってたらあの人付けて来なさそう」

花名「じゃ、じゃあ!先生は気に入ったから買ったんだね!」

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栄依子「……うん!」

花名「わあっ、すごいね!すごい!」

栄依子「あのね……私の作ったものを買ってくれた人、リアルで見たの初めてでね、それが先生でね、なんか、なんかね、すごく……」

花名「……よかったね栄依子ちゃん、よかったね」

栄依子「もー、どうして花名が泣いちゃってるのー」

花名「ごめん、ごめんね」

栄依子「ありがとう花名、嬉しい、すっごく」

花名「栄依子ちゃん……」

栄依子「……よし、内緒話おしまい」

栄依子「まあ、だれかに話しちゃっても特に問題ないから気にしないでね」

花名「う、うん」

栄依子「実はねアクセサリー作ってること人に言ったの初めてなの」

花名「……えっ?」

栄依子「花名が初めて」

花名「あ、そんな大事な秘密教えてもらうの私が最初でよかったのかな……」

栄依子「えー?私は話したのが花名でよかったって思ってるけど?」

榎並『オマエらが仲良くなったってことだろう』(回想)

花名「本当にそうなのかな?……そうだといいな」

花名「いつか私も話せるかな……自分の秘密を、みんなに……」

 

 

スロウスタート7話「ぐるぐるのてくび」感想

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   これは息を呑む暇すら与えないような、余りにも濃厚な百合描写に見惚れてしまい語彙力を失ってしまったリアルタイムの呟きです。頭が悪そうすぎます。

   

   ここまで、7話Bパートの文字起こしをしてみましたが、感想は7話全体の話へ。

   まず、冒頭の雑貨屋さんで染料(?)のような小瓶を手に取り、「いい色」と呟く栄依子ちゃん、このシーン自体はオリジナルなのですが、これが後半の榎並先生の「ああ、いい色だろこれ」の台詞に対して、意味深に微笑む栄依子ちゃんの表情により深い意味を持たせるナイスな演出。

    Aパートは栄依子ちゃんのお誕生日回。原作ではここでクラスメイトが数人名前付きで登場するのですがカット。残念。その中の1人、椿森幸さんは僕の好きなキャラクターです。


彼女は原作2巻の書き下ろしエピソードで栄依子ちゃんにクスリを盛って襲おうとする完全にヤバい奴です。

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こいつ。見ての通りストーカー気質。

 

   というわけで、既に頭にピンを大量につけている栄依子ちゃんへプレゼント渡すはなたまコンビからスタート。「頭がおめでたい感じだったので」ナチュラルに毒を吐くたまちゃんがかわいい。続く台詞中の「クズ」は「駄目」に変更されていますね。「た、たまちゃんは全然クズなんかじゃないよ!」と叫ぶ花名ちゃんは見れませんでした。

   その後、先生もやってきて、流れに乗ってゼムクリップを栄依子ちゃんの髪につけてあげます。咄嗟にクリップをハート形に曲げてみたり、攻めの姿勢を見せる栄依子ちゃん。直後にそんな彼女が貰ったクリップを大事そうにしている場面を挿入してくるからズルい。因みにここもオリジナルです。凄い。

 

   Aパートの見せ場、冠ちゃんが誕生日プレゼントを渡すシーン。「あえて」を強調し、自分が特別である事をアピールする冠ちゃんがいじらしい。萌え萌えポイント10億点くらい。ぷにあな呼ばわりして本当にすいませんでした。

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「……ね、これって、冠だと薬指のサイズよね」

「………………知らない」

 

   ところで、冠ちゃんは本妻アピールをしていましたが、栄依子ちゃんと先生の関係についてはどう思っているのでしょうか……あざとく「ワン」と言ってみせた栄依子ちゃんは朝になっても戻ってこない気もしますが……(個人的にも依存先を失って絶望する冠ちゃんが見たい)

 

   満を持して、本編ともいえるBパート。BGMが消え、2人だけの空間である事が強調されます。扉が完全に閉まるシーンをわざわざ差し込む辺り本気を感じる。動揺している先生と飄々としている栄依子ちゃんの対比が素晴らしい。ここから先は完全に百合姫の世界。

   開口早々に「……ね、十倉さんてかわいい?」と酔っている相手に聞き出そうとする栄依子ちゃん、レズの鑑。どんな状況でも攻めの姿勢を崩さないその姿を全国のラブコメヒロインは学ぶべきですね。曖昧な返答をする先生の顔を覗き込む栄依子ちゃんの表情が良い……今回は全体的に表情のクオリティが高い。

   夜が過ぎ朝を迎えます。栄依子ちゃんは何もせず寝ていたみたいですが、彼女のことだから寝顔の写真くらいは撮っていそう。オリジナルのコーヒーを並んで飲むシーンでは生徒と教師の独特の距離感が出ていて最高の一言。

   お別れの際の、「別に、いいにおいだぞ?」の台詞は、アニメでは直接顔を近づけ匂いを嗅いでからの発言に変化。扉の前で赤面している栄依子ちゃんを他所に、見ているこちらがドキドキしてしまいます。普段飄々としているキャラクターが感情を表に出す場面はいつの時代も素敵です。

 

   場面は変わり、学校の廊下へ。朝からイチャイチャしている2人を眺める花名ちゃんの表情が面白い。

   そして、先生が自分の作ったネックレスを付けていることに気付く栄依子ちゃん。「いい色だろ」と褒める先生の発言を聞いてハッとします。前述の通りオリジナルの演出が活きています。この辺の表情の変化が並みのクオリティではない。
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   7話一番の見どころの含みを持った笑み。天才。

 

   さらに場面は切り替わり、花名ちゃんを内緒話に誘った栄依子ちゃん。原作ではここから話数も切り替わっています。

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   目をグルグルさせている花名ちゃんがかわいい。早とちりして泣き出すのもかわいい。

   内緒話を始める栄依子と花名。「あのね……私の作ったものを買ってくれた人、リアルで見たの初めてでね、それが先生でね、なんか、なんかね、すごく……」と語る栄依子ちゃんのシーンは嶺内ともみさんの演技と相まって感動的。花名ちゃんにつられて泣いてしまいます。

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   最後に花名ちゃんが「いつか私も話せるかな……自分の秘密を、みんなに……」と独白するシーンがありますが、女生徒と女教師の禁断の関係に比べると中学浪人なんて大したことないと思ってしまうのは僕だけでしょうか……

 

終わりに

   栄依子ちゃんは誰に対しても主導権(マウント)を取ろうとしますが、先生には通用せずに逆に取り返されるのがかわいいですね。原作最新話ではより深まった栄依子ちゃんと榎並先生の関係性を目にする事ができますので、是非読んでみてください。 

まんがタイムきらら 2018年 03 月号 [雑誌]